素材へのこだわり
美しく輝く、山里のこと。
徳島県、吉野川市美郷地区。
にほんの里100選にも選ばれた、この美しい山里は、早春になるとあたり一面に芳しい香りが漂います。
鶯宿梅に竜狭小梅、月世界に南高梅・・・
白とピンクに染め分けられた春のカーテンをくぐるごとに、思わず顔がほころんでくるよう。
毎年2月に、ぐるりと郷を回る庵主。
春が来たなあ、と心弾みます。
大粒で芳香な美郷の梅
美郷は全国で初めて「梅酒特区」の認定を受けたことでも有名な地。
一番の特徴は、その質の高さにあります。
中山間地域にあたる美郷地区は、昼夜、季節の寒暖差が大きい土地。
この地で育った梅は、酸味や甘み、香りなど、品種の特徴が際立つという。
「平たい土地で育った梅よりも、だいぶ個性が出やすいんよ」とは、美郷の梅酒農家さん談。
美郷でのびのびと育った梅は、皮が薄く肉が厚いと評判で、香り高い。
一つ一つ手作業で収穫された大粒の梅は、まるで宝石のよう。
美郷梅と茜庵
大粒の美郷梅が届いたら、すぐに漬け込み、深い香りを閉じ込める。
あとは冬まで、庵主がじっくり、のんびりと漬け込みます。
花が咲き、蜜蜂がかけめぐる、春。
夜の郷を蛍が美しく照らす、夏。
燃えるような紅葉が鮮やかな、秋。
美しい郷の季節がぐるりと一巡したところで、 それでは、お菓子にいたしましょうか。